
研修動画は一度制作すると、「しばらく使える教育資産」として、動画があることで研修の手間が減り、教育を仕組み化できたと感じている企業も多いかと思います。しかし、その一方で時代の変化により、時間の経過とともに少しずつ“ズレ”が生まれてくるケースも少なくありません。
制度やルール、業務フロー、使用ツール、人材の価値観など、組織を取り巻く環境は変化しているのに、研修動画だけが当時のまま止まっていないでしょうか?
その結果、「見られてはいるが理解されていない」「補足説明が前提になっている」といった状態に陥ることもあります。
そこで今回は、研修動画を作り直すべきかどうかを判断するための見直し時の基準やチェックポイントを整理し、今の組織に合った研修動画を考える際のヒントとなる情報をご案内いたします。研修動画の更新のタイミングを検討する際の参考情報になりましたら幸いです。
◆目次
1.研修動画が「古くなる」のはどういう状態?
研修動画が古くなる理由は、単に「情報が古い」ことだけではありません。
ここでは、研修動画が機能しなくなる代表的な状態を整理していきます。
1-1.情報が古いだけが問題ではない
研修動画が見直されるきっかけとして多いのが、「制度変更」や「業務ルールの更新」です。
もちろん情報の鮮度は重要ですが、それだけを更新しても研修効果が回復するとは限りません。
例えば、内容が正しくても、
・伝え方が今の受け手に合っていない
・前提としている業務環境が変わっている
といった場合、動画は「理解されにくい教材」になってしまいます。
研修動画の価値は正確さだけでなく、「今の状況に合っているか」という観点でも、見直すことが大切です。
1-2.伝えたい意図と、受け手の理解にズレが生じている状態
研修動画には必ず、「何を理解してほしいのか」「どんな行動につなげたいのか」という意図があります。
しかし時間が経つと、
・視聴者の立場や知識レベルが変わる
・組織の課題や重視ポイントが変化する
こういったことで、作り手の意図がそのまま伝わらなくなることがあります。
その結果、動画は視聴されているが、期待していた理解や行動が生まれない状態になっていることがあります。
そういった、「意図と理解のズレ」が広がっている場合にも、研修動画は見直し時といえます。
1-3.現場の実態と動画の内容が噛み合っていない
研修動画は、現場で活用されてこそ意味を持ちます。しかし、作成当時の業務フローや考え方を前提にしたままでは、現場との乖離が生まれてしまっている場合があります。
たとえば、
・動画で紹介している手順が、実際の業務で使われていない
・理想的な進め方が、現場のリソースや状況に合っていない
こうした状態では、社員は「参考にならない研修」と感じやすくなります。結果として、研修動画は「形だけ存在する教材」になってしまいます。
1-4.“使われているか”ではなく“機能しているか”という観点も重要
研修動画は、「視聴されているか」「残っているか」だけでは評価できません。
重要なのは、
・理解が深まっているか
・行動や判断に活かされているか
・現場で実際に役立っているか
といった機能しているかどうかという視点です。
研修動画が古くなったかを判断する際は、情報の更新有無ではなく、今の組織・現場・受け手に対して役割を果たしているかを基準に見直していく必要があります。
2.更新されていない研修動画がもたらすリスク
研修動画が更新されないまま放置されると、単に「古い教材が残る」という問題にとどまらず、教育の質や企業イメージそのものに影響を及ぼす可能性があります。ここでは、更新されていない研修動画がもたらす主なリスクを整理してご紹介します。
2-1.見られなくなる(流し見・倍速・スキップ)
内容や構成が今の状況に合っていない研修動画は、社員にとって「自分には関係のない情報」に見えやすくなってしまいます。
その結果、
・倍速再生で形式的に視聴する
・画面を流し見するだけになる
・重要なパートがスキップされる
といった行動が増えていきます。こうなると、動画が再生されていても実質的には内容が届いていない状態です。
これは個人の姿勢の問題という訳ではなく、研修動画が「今の受け手に最適化されていない」ことによって起こる現象ともいえます。
2-2.研修効果が測れず、教育が形骸化する

更新されていない研修動画は、「何を理解してほしいのか」「どんな行動を期待しているのか」が曖昧になりがちです。
その結果、
・研修後に何が変わったのか分からない
・理解度や定着度を評価できない
・研修が“受けたこと”自体が目的になってしまう
といった状況が生まれてしまいます。
こうなると研修は教育施策ではなく、単なる業務フローの一部になり、改善や見直しの対象にもなりにくくなります。
気づかないうちに、教育全体が形骸化していくリスクを抱えることになります。
2-3.「この会社、古いな」という印象につながってしまう
研修動画は、社員や新入社員にとって「会社の考え方」や「大切にしている価値観」に初めて触れる機会でもあります。
そこで、
・画面構成や表現が明らかに古い
・今の働き方とズレた前提で話が進む
・現場感のない説明が続く
といった状態が続いてしまうことで、「この会社は変化していない」「時代についてきていない」という印象を与えてしまいます。
研修動画は、企業文化や姿勢を無言で伝えるコンテンツです。更新されていない動画は、意図せず企業イメージを下げてしまう要因になり得ますので、定期的に見直しを行うことが大切です。
3.見直し時期の判断基準|①内容・情報編
研修動画が古くなっているかどうかを判断する際に、まず確認すべきなのが内容や情報そのものが、今の状況と合っているかという点です。
ここでは、見直しの必要性を判断するための代表的なチェックポイントを整理していきます。
3-1.法制度・ルール・ツールが現在のものと一致しているか
研修動画の中で扱っている法制度や社内ルール、使用ツールは、作成当時のままになっていないでしょうか。
・法改正により表現や対応が変わっている
・社内規程や運用ルールが更新されている
・使用しているシステムやツールが変更されている
こうした変化があるにもかかわらず、動画が更新されていない場合は、研修内容そのものが誤解やミスを生む原因になってしまいます。
正確な情報であることは、研修動画の前提条件です。少しでも現状とズレがある場合は、見直しを検討するようにしましょう。
3-2.実際の業務フローと動画内容に差がないか

情報が正しくても、現場での仕事の進め方と噛み合っていない研修動画は機能しません。
・動画で説明している手順が、現場では省略・変更されている
・理想的なフローを前提にしており、実態とかけ離れている
・部門やチームによって運用が異なっている
このようなズレがあると、社員は「実際の仕事では使えない」「現場感がない研修」と感じやすくなります。
研修動画は、現場で再現できてこそ意味があるコンテンツです。業務フローとの乖離が見られる場合も、見直しのサインといえます。
3-3.現場から「今と違う」という声が出そうな古い情報はないか
実際に指摘が出ていなくても、「これを見たら、現場から違和感の声が上がりそうだ」と感じる箇所がないかを確認することも重要です。
・今は使われていない言い回しや用語が入っている
・現在の価値観や働き方と合わない表現
こうした要素は、視聴者の集中力や納得感を下げる原因になります。研修動画の見直しは、“すでに問題が起きているか”ではなく、“問題になりそうか”という視点でもチェックし修正していくことが重要です。
4.見直し時期の判断基準|②構成・表現編
研修動画が機能しているかどうかは、「何を伝えているか」だけでなく、どう伝えているかにも大きく左右されます。
内容が正しくても、構成や表現が今の視聴環境に合っていなければ、研修動画は最後まで見られず、理解や定着にもつながりません。
ここでは、構成・表現の観点から見た、見直しの判断基準を整理してご紹介します。
4-1.動画が長すぎて集中力が続かない
研修動画が作られた当時と比べ、現在では短時間で要点を把握する情報接触が当たり前になっています。
そのため、
・1本あたりの尺が長い
・途中で区切りがなく、最後まで見通しが立たない
といった動画だと、視聴者の集中力が続きにくくなり、「後で見よう」と先延ばしにされてしまったり、途中で視聴が止まってしまうケースが増えます。
動画の長さ自体が問題なのではなく、今の視聴スタイルに合っているかという点も見直しの際のポイントになります。
4-2.一つの動画に情報を詰め込みすぎている
研修動画でよく見られるのが、「一度に全部伝えよう」として情報を詰め込みすぎてしまうケースです。
・背景説明から実務、注意点までを一気に説明している
・複数のテーマが1本の動画に混在している
このような構成では、視聴者は「何が一番大事なのか」を掴みにくくなってしまいます。
研修動画は、「1本1メッセージ」を意識することで、理解度と記憶定着が高まります。もし、情報過多になってしまっている場合は、分割や再構成を検討するようにしましょう。
4-3.文字や説明が多く、理解しづらい構成になっている
画面上に文字情報が多すぎる研修動画は、「読んで理解する」ことに意識が向き、動画のメリットが活かされていません。
・スライドの文字量が多く、読み切れない
・ナレーションと画面の情報が重複している
・説明が抽象的で、具体的なイメージが湧きにくい
このような構成では、視聴者は内容を処理しきれず、理解が浅くなりがちです。
動画は、視覚と聴覚で補い合う設計が重要です。文字や説明に頼りすぎている場合は、表現方法そのものを見直す必要があります。
5.見直し時期の判断基準|③視聴・運用編
研修動画は、作って公開したら終わりではありません。実際にどのように視聴され、どう活用されているかまで含めて設計することが大切です。ここでは、視聴状況や運用面から見た、見直し時期の判断基準を整理しご案内します。
5-1.どのくらい再生されているか把握できていない

制作した研修動画は、「誰が」「どのくらい」「どこまで」視聴しているかを把握できていますでしょうか。
再生回数や視聴完了率が分からない状態では、動画が本当に使われているのか、形だけ残っているのか判断することができません。
・途中離脱が多い
・特定のパートだけ視聴されていない
・そもそも再生されていない
こうした状況は、動画そのものや構成に課題があるサインでもあります。視聴状況が見えていない研修動画は、改善の起点を失っている状態といえますので、制作した動画はアナリティクスで分析するなど行いブラッシュアップしていくことが大切です。
5-2.視聴後の行動変化が見えない
研修動画の目的は、「見せること」ではなく、「行動につなげること」です。
・研修後に何ができるようになったのか分からない
・業務の進め方や判断に変化が見えない
・評価やフィードバックにつながっていない
このような状態では、研修の効果を測ることができません。
これは、動画の内容や構成だけでなく、研修設計そのものが曖昧になっている可能性があります。
行動変化が見えない場合は、見直しを検討すべき重要なサインです。
5-3.教育のたびに補足説明が必要になっている
研修動画があるにもかかわらず、毎回、「動画だけでは分かりにくいので補足します」と前置きが必要で、担当者が同じ説明や補足を繰り返していませんか。このような場合は、見直しの検討のサインです。
・現場ごとに追加説明をしないと理解ができない
・結局、口頭説明がメインになっている
こうした状況は、研修動画が単体で完結していないことを意味しています。
本来、研修動画は「共通認識を揃えるための基盤」になるべきものです。補足説明が常態化している場合、動画の設計や構成を見直す必要があります。
6.「作り直す」だけでなく「設計し直す」
研修動画を見直すと聞くと、「一から作り直さなければならないのではないか」と感じる方もいるかもしれませんが、実際は、全てを作り直すことが最適解とは限りません。重要なのは、動画そのものを新しくすることではなく、研修動画が今後も機能し続けるための設計を見直すことです。
6-1.全編作り直しではなく、部分的な更新も選択肢
研修動画の中には、今でも十分に使えるパートと、見直しが必要なパートが混在しているケースが多くあります。
・考え方や方針は変わっていないが、具体例だけが古い
・制度説明は更新が必要だが、基本的な流れはそのまま使える
こうした場合は、全てを作り直すのではなく、該当箇所だけを更新・差し替えることで、コストや工数を抑えながら研修効果を高めることができます。
研修動画の見直しは、「ゼロから作る」か「何もしない」かの二択でなく、「一部差し替え」という手段も含めて検討していくのはいかがでしょうか。
6-2.目的別・役割別に動画を分ける設計

一つの研修動画に、複数の目的や対象を詰め込んでしまうと、どうしても伝わりにくくなってしまいます。
そこで重要になるのが、目的別・役割別に動画を分けて設計するという考え方です。
・全員に共通して伝えたい内容
・管理職向けに補足が必要な内容
・実務担当者向けの具体的な手順説明
このように役割ごとに動画を分けることで、視聴者は「自分に必要な情報」に集中しやすくなり、結果的に、理解度や活用度も高まる効果が期待できます。
6-3.将来の更新を前提にした構成づくり
研修動画は、一度作れば終わりというものではありません。制度変更や業務の進化に合わせて、必ず更新が必要になるものです。だからこそ、更新を前提として構成を作り整えておくと、更新しやすくなります。
・章立てを明確にする
・差し替えやすい単位で構成する
・特定の数字や固有情報をまとめて管理する
将来の更新を見据えた設計が大切です。最初から「変わること」を前提にしておくことで、研修動画は長期的に使える資産になります。
研修動画の見直しとは、単に映像を新しくすることではなく、教育をどう機能させ続けるかを考えるプロセスです。
「作り直す」のではなく「設計し直す」という視点で再設計することで、研修動画は一時的な教材ではなく、組織に定着する教育コンテンツへの進化が期待できます。
7.研修動画を見直すことで得られる効果
研修動画を「設計し直す」ことで得られる価値は、単に動画が新しくなることだけではありません。教育そのものが、効率的かつ安定して機能する仕組みへと変わっていきます。ここでは、研修動画を見直すことで期待できる主な効果を整理しご紹介します。
7-1.研修時間の短縮と理解度の向上
構成や内容が整理された研修動画は、「必要な情報を、必要な分だけ」伝えることができます。
その結果、以下のような効果が生まれます。
・無駄な説明が減り、研修時間が短縮される
・要点が明確になり、理解しやすくなる
・繰り返し視聴することで定着度が高まる
研修時間が短くなる一方で、理解度が下がるのではなく、むしろ理解の質が高まるのが、設計を見直した研修動画の特徴です。
7-2.教える側・教わる側の負担の軽減が期待できる
研修動画が整理されて、分かりやすくなることで、教える側・教わる側の双方の負担が軽減されます。
・毎回同じ説明を繰り返す必要がなくなる
・補足説明や個別フォローが減る
・受講者も、自分のペースで理解を深められる
これにより、教育担当者は本来注力すべき業務やフォローに時間を使えるようになります。
受講者にとっても、研修が「負担」ではなく「学びやすい時間」に変わります。
7-3.教育が属人化せず、仕組みとして機能する
研修動画が整理・設計されていない場合、教育はどうしても「教えられる人」に依存しがちです。
しかし、研修動画があれば、教育は個人のスキルに依存しないようになります。
・内容が整理され
・誰が見ても同じ理解にたどり着ける構成になり
・運用ルールが整備されている
結果として、
・担当者が変わっても教育品質が保たれる
・拠点や部署ごとの差が出にくくなる
・教育が継続的に回る仕組みになる
研修動画の見直しは、教育を属人化から解放し、組織の資産として定着させる取り組みといえます。
研修動画の見直しはコストではなく、教育の質と運用効率を同時に高める投資としてお取り組みされてみてはいかがでしょうか。
8.まとめ|研修動画は「今の組織」に合わせて育てていくもの

研修動画は、一度作って終わりではありません。組織や人、業務が変われば、伝えるべき内容や伝え方も変わっていきます。
今使っている研修動画が、「今の組織に本当に合っているか」という観点で見直すことは、教育の質を高める第一歩です。
ホープンでは、お客様の教育研修動画の制作を長らくご支援してまいりました。
既存動画のブラッシュアップのご相談から、新規研修動画制作・リニューアルまでサポート可能です。
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