
近年、注目されているのが「ブランドブック」の活用です。「ブランドブック」とは、企業の理念・文化・価値観を“物語”として可視化し、読み手に理解ではなく共感を生み出す強力なコミュニケーションツールです。
実際にホープンでも、「プリントボーイ」から「ホープン」へ社名変更のタイミングで自社のブランドブックを制作し、インナーブランディング(社内浸透)の場面で活用しました。
この記事では、「ブランドブック」の制作から、ホープンでの活用方法までご紹介します。
◆目次
1.なぜ社名変更のタイミングで「ブランドブック」が必要だったのか?
2024年9月の社名変更は、ホープンにとって大きな転換点でした。
社名が変わるということは、単に呼び方が変わるだけではなく、企業として何を大切にし、どのような姿勢で未来に向かうのかを再定義する機会でもありました。
社名変更直後は、新旧の価値観や文化が一時的に混在し、社員一人ひとりが「会社らしさ」を改めて捉え直す時期となりました。
その“原点”と“未来”を全員で共有し、同じ方向を向くために制作したのが「ブランドブック」です。
ブランドブックは、新入社員だけでなく既存社員にとっても会社の軸を再確認する重要なツールとなり、オンボーディングやインナーブランディングの場面で活用しました。
1-1.文章だけでは伝わらない“空気感”を補完する
社名が変わると、企業が掲げる姿勢や目指す方向性が更新されることがあります。
その「変わった部分」と「変わらない部分」を、言葉とデザインの両面からわかりやすく示す役割を担ったのがブランドブックです。
・ホープンの社名の由来
・大切にしたい価値観
・プリントボーイから受け継ぐ想い
こうした“ニュアンス”を、ビジュアルとともに伝えられることで、新入社員はもちろん既存社員も企業の世界観を自然に理解しやすくなりました。
1-2.オンボーディングは“説明”ではなく“共感と理解の再構築”が重要
社名変更後は、制度や業務フロー以上に、新しい理念・価値観への“共感を生むこと”が浸透のカギでした。
ブランドブックを活用することで、新入社員だけでなく既存社員も理念を深く理解でき、行動判断にズレが生じにくくなりました。
その結果、社名変更後の文化統合もスムーズに進みました。
※「オンボーディング」にご興味がある方は以下の記事をご覧ください。
▼「オンボーディング」に関する記事はこちら
オンボーディングとは?安心して働くために準備したい10の施策
1-3.社名変更後の“判断軸”としても機能する
社名変更直後は、日々の判断基準もアップデートが必要です。
そのため、「ブランドブック」として手元にあることで「新しいホープンの判断軸」を明確に示すガイドとして機能しました。
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迷ったときに立ち返る“原点”になる
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部署間での“価値観のズレ”を吸収する
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新入社員にも既存社員にも同じ“企業らしさ”に触れられる
オンボーディングの場面でも、読み返すことで価値観の早期定着につながり、入社後のミスマッチ防止にも効果があります。
2.読まれるブランドブックに共通する3つのポイント
ブランドブックは「作ること」が目的ではありません。大切なのは“読んだ人の行動が変わること”です。
ここでは、読まれる「ブランドブック」に共通する3つのポイントをご紹介します。
2-1.「物語」で伝える
企業理念やバリューを箇条書きで並べるだけでは、人の心には届きません。
「なぜその理念が生まれたのか」「どんな背景があるのか」というストーリーがあることで、言葉の裏側にある想いまで理解でき、価値観を“自分ごと化”しやすくなります。
※「物語」を通じてメッセージを届ける手法(=ストーリーテリング)にご興味がある方は以下の記事をご覧ください。
▼「ストーリーテリング」に関する記事はこちら
心に残るコンテンツの作り方|ストーリーテリングで共感を生む5つのステップ
2-2.“質感”でも新しい企業らしさを伝える
ブランドブックは、言葉だけでなく“質感”も企業らしさを伝える重要な要素です。
紙の風合い、厚み、余白、写真の空気感、アイコンの線の太さまで細部にこだわることで、ブランドの世界観が直感的に伝わりやすくなります。
また、統一された質感で表現されることで「このトーンが会社らしい」という感覚が自然と全社で揃い、カルチャーフィットのスピードも高まります。
質感までこだわり統一された「ブランドブック」は、インナーブランディングの強力な支えになります。
2-3.自分ごと化しやすい構成にする
ブランドブックには、社員一人ひとりが価値観を自分の行動に落とし込める構成が必要です。
・価値観が生まれた背景(社名変更の背景・想い)
・企業が目指す未来・意志
・受け継ぐ文化と新しい文化の関係
こうした情報を一つのストーリーとして丁寧に編むことで、「この価値観を自分ならどう体現するか?」を自然に考えるきっかけになります。
新入社員が役割や行動基準をイメージしやすくなるため、オンボーディングにも有効です。
3.ホープンのブランドブック~制作プロセスとポイント~

ここからは、ホープンが実際にどのようなプロセスでブランドブックを制作し、どんな内容を入れたのかなど制作ポイントをご紹介します。
ホープンでは、「新しい社名に込めた想いを社員一人ひとりに共有し、浸透させること」を目的に制作しました。
社名変更という大きな節目だからこそ、私たちが大切にしてきた価値観や、これからの未来に向けて大切にしたい姿勢をあらためて言語化し、全員で共有する際に活用しました。
3-1.原稿作成
制作の最初のステップは、「ブランドブックで何を伝えるのか」を明確にし、言葉として整理する工程でした。
社名変更に伴い、まずは入れたい情報を洗い出し、「軸」となる文章を作ることから始めました。
新たな社名を浸透するために、社名「HOPEN(ホープン)」の意味や想いを入れることにしました。
HOPE(希望)+ OPEN(自由)という言葉を組み合わせた新たな社名には、
「希望を創造し、自由に発想する」という、わたしたち(ホープン)の姿勢が込められています。
また、プリントボーイ時代から長く受け継いできました、“誠実さ・丁寧さ・謙虚さ・優しさ”はそのままに、
ホープンとして新たに大切にしたい、“希望・創造・自由・広がり”を掲げることで、
この2つの価値観が「足し算ではなく、自然に溶け合うように」表現することを意識しました。
さらに、ホープンが掲げるミッションである
「コミュニケーションを最適化することで、あらゆる人々に笑顔と感動をもたらし続けます」という理念も、堅苦しく伝えるのではなく、読み手が自然に理解できるように語り方を調整し、抽象的な言葉で終わらず、行動や姿勢がイメージできるように文章を整えました。
3-2.ラフデザイン制作
原稿の方向性が固まったあとは、“紙で読む世界観”を形にするためのラフデザイン制作に進みました。
ブランドブックは、言葉の内容だけでなく、色・余白・レイアウトといった視覚表現そのものがメッセージになる媒体です。
そのため、この段階では細部のニュアンスまで丁寧に検討していきました。
まず意識したのは、「ブランドカラー」です。社名変更に伴い、ブランドカラーを変更したことで「ブランドカラー」の浸透のためにブランドカラーをメインに使用いたしました。
ブランドカラーは、2種類ありますがアクセントとして使うのか、全面に使っていくのかなど検討していきまして、最終的に現在の形になりました。
次に検討したのは、見開きごとの“リズム”です。左ページは余白を大きく取り、右ページにメッセージを凝縮する構成にするのか。
写真を大きく配置し、次のページで言葉を深めるのか。ページをめくるごとに読み手が心地よく進めるよう、情報の軽重や視線の流れを意識し組み立てていきました。
様々な検討を踏まえ、見開きごとのバランス、文章配置、余白設計などをラフとして落とし込みながら、ブランドブック全体の世界観を固めていきました。
※「カラーブランディング」に関してご興味がある方は以下の記事もご覧ください。
▼「カラーブランディング」に関する記事はこちら
「カラーブランディング」とは?ブランドカラーが与える色の効果を解説!
3-3.サイズの決定
ブランドブックの制作は、内容だけでなく“どんなサイズで、どんな紙で届けるか”も重要なポイントです。
ホープンでは、読みやすさと携帯性のバランスを重視し、「ハガキサイズ」を採用しました。
採用シーンでもオンボーディングでも持ち歩きやすいサイズ感で制作したため、いつでも手元で見返せるものになりました。
3-4.紙の決定
紙は、数種類から比較しましたが、最終的に「ヴァンヌーボV-FS(スノーホワイト)」 を採用しました。この紙が持つ魅力は、なんといっても 豊かな風合いと軽やかさです。
中に空気を多く含むため軽量で、ページをめくったときの柔らかい質感の紙でしたので、ブランドブックにもぴったりでした。
また、「ヴァンヌーボV-FS」はインキの重なりによって微妙な光沢やニュアンスが生まれる特徴があります。
ホープンのブランドカラーであるグリーンも美しく発色し、落ち着きの中に明るさを感じさせる仕上がりとなりました。
3-5.文章設計(校正・レイアウト調整)
文章とデザインを組み合わせる段階では、「どの言葉をどこに配置すると最も伝わりやすいか」を細かく調整していきました。
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行間・文字サイズの調整
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語尾の統一(丁寧で柔らかい印象に)
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専門用語を避け、誰でも理解できる表現へ
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余白も“デザインの一部”として活用
読み手がストレスなく読み進められ、自然と内容が入ってくるように仕上げています。
3-6.印刷・加工
印刷では、ブランドカラー(ホープグリーン/オープングリーン)を忠実に再現するため、インキ濃度や紙との相性を微調整しました。
また、黒文字のトーンやロゴの色も細かく確認し、“強すぎず、弱すぎず”ブランドらしい存在感に整えました。
こうして、最終的に折り加工・中綴じ加工を経て、ミニ冊子として完成しました。
制作した「ブランドブック」は、年2回ホープンで行う振り返りの全体会などで携帯しています。
4.まとめ|「共感」を生み、組織をひとつにする資産にブランドブックを取り入れませんか?
「ブランドブック」は、採用広報以外にも今回のような社名変更に伴う理念浸透などインナーブランディングでも有効です。
企業の“らしさ”を言語とビジュアルで形にし、求職者には共感を、社員には誇りを生み出す大切な資産になります。
ブランドブックは、制作後の活用が重要です。ただ作って終わりにするのではなく、認知から共感・定着までを見据えて制作しましょう。
資料を投影するだけでは、日々の業務を行っていると、どうしても薄れてきてしまいます。
そのため、持ち歩けるサイズ感で配布物として制作することで、いつでも見返すことができ、採用シーンでもオンボーディングの場面でも「共有すべき価値観」を繰り返し伝えることができます。
ブランドブックは、企業の価値観・文化・ストーリーを丁寧に可視化し、読み手の心に自然と共感が生まれるコミュニケーションツールとして、インナーブランディングの観点でもおすすめです。
もしインナーブランディングに課題を感じている場合は、「想いを伝えるブランドブック」として形にしませんか。
ホープンでは、理念浸透のためのブランドブックの制作をデザインから紙選び、印刷までワンストップでご支援しております。
今回ご紹介いたしました、「ブランドブック」以外にも、「従業員ライフサイクル」を踏まえた人と組織をつなぐ伝わるコンテンツ制作を、企画から印刷・発送まで一貫してご相談いただけますので、お気軽にホープンまでお声がけください。












