
企業にとってロゴは、単なる“見た目のデザイン”ではありません。企業の理念やサービスを社内外に浸透させ、認知や共感を高めるための「核」となる存在です。
ロゴは、ひと目でメッセージを伝える強力なツールですが、採用・営業・広報などあらゆる接点において、ブランド体験の一貫性が求められています。
ロゴの刷新が“サービスの浸透”や“理念の浸透”の起点になるケースが増えており、実際にロゴが変わるだけで、企業の提供価値の伝わり方やブランドの印象、企業文化の受け取られ方までも大きく変わります。
ロゴには「コーポレートロゴ」と、製品・サービスごとの「ブランドロゴ」がありますが、今回はその中でも「ブランドロゴ」に焦点を当ててご紹介します。
ロゴが果たす役割から、制作時に押さえるべきポイント、さらには具体的な制作ステップまで、分かりやすく解説していきます。
◆目次
1.ロゴ制作の4つのメリット
ロゴは単なる「マーク」ではありません。サービスの価値をひと目で伝え、企業の世界観を形づくり、社内外にブレないブランド体験を届けるための最も強力な視覚資産になります。
ここでは、ロゴ制作がもたらすメリットを4つの視点から整理してご紹介します。
1-1.ブランド認知を高める
ロゴは、抽象的な価値を視覚的に記号化し、文字よりも早くユーザーに情報を届けることができます。
特に新規事業・リブランディングなど認知の立ち上げが必要な場面では、“何を提供する会社なのか”を直感的に理解してもらう役割を果たします。
◆ポイント
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認知ギャップを埋める
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初めて接点を持ってくれたお客様にも方向性が伝わる
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価値訴求のスピードが上がる
1-2.統一された世界観で信頼と共感につながる
企業が複数のサービスやチャネルを持つほど、ロゴは“世界観の基準”として重要になります。
Web・パンフレット・SNS・営業資料など、あらゆる接点がロゴを起点に整理されることで、統一感が生まれユーザーに信頼されやすくなります。
◆ポイント
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ビジュアルの統一により信頼性の向上が期待できる
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世界観が揃うことで安心感を与えたり・共感につながりやすい
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ブランド全体に“一貫性”が生まれる
1-3.サービスの存在感がより強固になる
統一されたロゴを継続的に露出することで、お客様の中に少しずつ“記憶のフック”が形成され、ブランドの存在感を強める効果が期待できます。情報があふれる現代では、文章だけの訴求では記憶に残りづらく、視覚的な手がかりが必要です。
ロゴがあることで、色や形・世界観が一貫した状態で何度も触れてもらえるため、覚えてもらいやすくなり、自然と「このサービスらしさ」を印象付けてもらいやすくなります。
その結果、ブランドとしての独自性の強化にもつながります。
◆ポイント
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ロゴが“ブランドの顔”として認識されるようになる
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他社との差別化・独自性の明確化できる
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継続接触による記憶・印象の強化につなりやすくなる
1-4.判断基準も明確化になり効率化だけでなくブランド浸透も加速
ブランドの浸透には、営業・広報・デザイナーが同じ方向で訴求していくことが不可欠です。
ロゴが明確に定まっていることで、社内で制作するすべての資料・デザインの判断基準が揃い、業務効率も大きく向上します。
◆ポイント
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ブランドの判断の基準が明確化される
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社内のアウトプットがブレなくなる
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ステークホルダーと世界観を共有しやすくなる
その結果、ブランド浸透が加速することにつながります。
2.認知・共感・浸透を最大化するロゴ制作の4つのポイント
ロゴがもたらす効果は、認知の向上、信頼感の形成、ブランドとしての存在感強化、そして社内外への浸透など、多岐にわたりますが、“デザインをつくっただけ”では浸透されません。
では、どのようにすればロゴを企業やサービスの成長を支える“資産”へ育てられるのでしょうか。
ロゴを戦略的に機能させるためには、押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
2-1.ブランドの“本質価値”の言語化なしにデザインしない

強いロゴに共通しているのは、デザインを始める前に “ブランドの本質価値”が明確に言語化されている ことです。
ロゴは見た目を整えるものではなく、ブランドが提供する価値や世界観を視覚化した“象徴”です。
言語化する際に押さえておくべき要素は以下の3つです。
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ブランドステートメント
プロダクトとして何を約束するのか -
コアバリュー
根底にある価値観は何か -
体験価値(UX)
お客様が得る理想体験は何か
これらが曖昧なままロゴを制作すると、どれだけ美しくても社内外に浸透しにくく、長く使われる“象徴”として機能しません。
逆に、本質価値が言葉で定義されていれば、視覚的に伝わるようにロゴが設計されるため、認知や共感が生まれやすくなります。
ロゴの設計は、デザインではなく“言葉”から始まる。ロゴ制作の最も重要な前提です。
2-2.ロゴの利用媒体と“接点の特性”から逆算する
サービス企業はユーザーと接するタッチポイントが非常に多様です。
Web、LP、営業資料、SNS、広告、動画など、媒体ごとにロゴの見え方や求められる役割は異なります。
例えば、
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LP:一瞬で価値を伝える力が必要
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SNS:小さい表示でも潰れない形状が重要
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広告:短時間でも識別できる“象徴性”・存在感”が重要
このように、ロゴは“利用媒体”も踏まえて設計することで、どの接点でも機能するブランド資産になります。
接点の多いプロダクトであればあるほど、この視点も必要不可欠です。
2-3.与えたい印象を踏まえて色・フォントを選定する

ユーザーがロゴから受け取る印象は、「色」と「フォント」に大きく左右されます。
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色
世界観・価値・事業領域を一瞬で伝える -
フォント
線幅・丸み・余白により「誠実」「革新」「親しみ」が変わる
丁寧な色彩設計・タイポグラフィ設計は、ブランド浸透を加速させる“核心”といえます。
※色やフォントについてどれを使えばいいか気になる方は以下の記事もご覧ください。
▼色選びにお悩みの場合におすすめ
▼フォント選びでお悩みの場合におすすめ
コーポレートフォントの選び方とは?VI設計の重要性と選び方
2-4.多面的な視点でロゴを設計する
ロゴ制作は、ひとつの視点だけで成り立つものではありません。
例えば、ブランドロゴは、ユーザー・導入企業・社内メンバーなど複数のステークホルダーが存在するため、それぞれの立場でロゴがどのように“見えるか”を踏まえて設計することが大切です。
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ブランドを利用するお客様にとってのロゴ
UI(ユーザーインターフェース)上で見やすく、安心して使えるブランドであることを直感的に伝えることが重要。Web上での認識のしやすさは、お客様の体験にも直結します。 -
導入企業・意思決定者にとってのロゴ
一貫したロゴは「信頼できるか」という印象にも影響を与えます。 -
社内(広報・営業など)にとってのロゴ
ブランドをどう表現するかの判断基準が揃い、UI改善や提案資料・Webサイトなどの魅せ方に影響します。
ブランドの方向性や価値を社内で共有する“共通言語”としても機能します。
このように、多角的な視点を踏まえてロゴを設計することで、お客様の体験の質はもちろん、導入企業との信頼関係や社内のブランド理解まで、一気通貫で強化することができます。
3.ロゴ制作の流れ(認知・共感・浸透につながるプロセス)
ロゴ制作は「デザインをつくる作業」ではなく、ブランドの価値を正しく伝え、ユーザーに認知・共感・浸透させるための戦略的プロセスです。ここでは、そのために欠かせない6つのステップをご紹介します。
STEP1:訴求内容の整理・ブランドの棚卸しをする
まず始めに、ロゴの制作の土台となるためにブランドの“解像度”を上げていきましょう。
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提供価値
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競合構造
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サービス領域
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ビジョンとの整合性
この段階で曖昧だと、あとでデザインが迷走してしまったり、社内外での評価基準が揃いにくくなってしまいます。
強いロゴにするために何を訴求したいのか、解像度を上げるための理解から始めていきましょう。
STEP2:ブランドキーワードを抽出する

整理が終わったら、ブランドを象徴する“キーワード”を抽出しましょう。
例:共創/紡ぐ/未来志向/誠実性/つながり
これらのキーワードは、ロゴ案を評価する際の“共通のものさし”になります。
主観的な好き嫌いではなく、「ブランドの価値と一致しているか」で判断することで、プロジェクトの合意形成がスムーズになります。
STEP3:複数の方向でロゴ案を作成する

ここでやっと制作に入ります。「ブランドキーワード」をもとに、異なる方向性のロゴ案を作成していきましょう。
例えば、以下のような型があります。
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抽象シンボル型
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記号(アイコン)型
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タイポグラフィ型
多角的な検討により、長く使えるロゴを見極めやすくなります。
STEP4:各接点でのシミュレーションを行う
ロゴは“実際に使われる場面”で機能して初めて価値を持ちます。
そのため、さまざまな接点での見え方を事前に検証していきましょう。
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Webヘッダー
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サービス資料
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LP・プレゼン資料
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SNSアイコン
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PR動画・サムネイル
どの場面でも崩れず機能する“再現性の高さ”があることで、ブランド体験の質を高めることができます。
STEP5:ブラッシュアップと最終調整を行う
シミュレーションを踏まえ、細部を最適化していきましょう。
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色の補正
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余白(スペーシング)の調整
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形状の最適化
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小サイズでの視認性チェック
この段階での微調整が、認知性や長期的な使いやすさに大きく影響してきます。
丁寧なブラッシュアップにより、ロゴが“ブランドの象徴”としての完成度が高まります。
STEP6:ガイドラインの策定と運用ルールを明確化しておく
ロゴは“作って終わり”ではなく、“使われ続けることで浸透する”ものです。
そのため、最終ステップでは、“ブランドガイドライン”を策定していきましょう。
例えば、以下のようなガイドラインを決めておくことが重要です。
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ロゴの使用ルール
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表示サイズ・最小サイズ
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余白規定
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カラールール
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推奨利用例・禁止事項
また、ロゴの使用にあたり運用ルールを明確にしておくことで、社内外の表現が統一され、ブランドのブレを防ぐことができます。
ガイドラインがあるロゴほど、長期的に資産として育ちやすく浸透力も高まるため、ロゴの制作と一緒にガイドラインも策定しておきましょう。
4.まとめ|ロゴを戦略的に設計し資産にしませんか?
ロゴは単なるデザインではなく、ブランドの価値をひと目で伝え、世界観を統一し、社内外問わず“共通の理解”をつくるためのブランド資産です。今回ご紹介したように、
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認知向上
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信頼・共感の醸成
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競合との差別化
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社内外の判断基準の統一
といった効果は、ロゴが“戦略的に設計されているかどうか”で大きく変わります。
ロゴは単なる装飾ではなく、ブランドイメージを浸透させるための“未来への投資”です。
今回の記事が、改めて自社のロゴを見つめるきっかけになりましたら幸いです。
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