
「自社の商品やサービスの魅力が、うまく伝わっていない気がする」「他社との違いをどう表現すればよいのかわからない」と感じることはないでしょうか。
機能や品質だけでの差別化が難しくなる中で、ブランドの価値をわかりやすく伝えるには、自社が大切にする考え方や、商品・サービスが提供する価値を明確にすることが大切です。その軸となるのが「ブランドコンセプト」です。
ブランドコンセプトを明確にすると、商品開発や施策の判断基準ができ、発信するメッセージにも一貫性が生まれます。
この記事では、ブランドコンセプトの意味や必要性、企業ブランドと商品・サービスブランドの違い、ブランドの軸を整理して言語化するまでの流れを解説いたします。
◆目次
1.ブランドコンセプトとは?

1-1. ブランドの価値や方向性を示す考え方
「ブランドコンセプト」とは、そのブランドが「誰に、どのような価値を提供するのか」を整理し、ブランドの方向性を示すものです。
単に商品やサービスの特徴をまとめるだけでなく、ブランドを通してお客様にどのような印象や体験、気持ちを届けたいのかまで考えます。
たとえば、同じような機能を持つ商品であっても「手軽さを提供するブランド」と「上質さを提供するブランド」では、商品のデザインや価格設定、広告の表現、接客方法などが異なります。
ブランドコンセプトは、商品開発やサービス設計、Webサイト・動画・パンフレット・SNSでの情報発信、営業活動、お客様対応など、ブランドに関わる活動の判断基準になります。
また、ブランドコンセプトが明確であれば、担当者や部署が異なっていても、目指す方向を共有しやすくなります。社内の認識をそろえ、お客様に一貫した価値や印象を伝えるための軸にもなります。
1-2. 企業ブランドと商品・サービスブランドの違い
ブランドには、大きく分けて「企業ブランド」と「商品・サービスブランド」があります。
企業ブランドとは、会社全体の姿勢や考え方、社会に提供する価値を表すものです。企業名を見聞きした際に抱く信頼感やイメージなども、企業ブランドを構成する要素になります。
企業ブランドは、お客様のほか、取引先、求職者、従業員、株主、地域社会など、さまざまな関係者に影響を与えます。そのため、企業理念、事業方針、社会への姿勢、従業員の行動なども含めて形成されます。
一方、商品・サービスブランドは、個別の商品やサービスがお客様に提供する価値を表します。
たとえば、「忙しい人でも手軽に利用できる」「専門的な品質を身近に体験できる」など、対象となるお客様や提供価値を商品・サービスごとに整理します。
また、ひとつの企業が複数の商品・サービスブランドを展開している場合は、それぞれで対象となるお客様や提供価値が異なることがあります。その際は、企業ブランドと各商品・サービスブランドの関係を整理しておく必要があります。
企業ブランドが示す方向性を踏まえ、個々の商品・サービスブランドの役割や提供価値を整理することで、ブランド全体に一貫性を持たせながら、それぞれの特徴を伝えやすくなります。
2.ブランドコンセプトが必要な理由
2-1. ブランドの方向性がぶれにくくなる
ブランドコンセプトを明確にすると、商品やサービス、施策を検討する際の判断基準ができます。
企業では、新商品の開発やサービス改善、キャンペーン、Webサイトのリニューアルなど、さまざまな場面で意思決定が必要です。ブランドコンセプトが定まっていれば、「目指す方向に合っているか」「お客様に提供したい価値につながるか」という視点で判断できます。
一方、共通の基準がないと、担当者の感覚や経験によって判断が分かれ、施策ごとに方向性が変わってしまう可能性があります。
さらに、ブランドコンセプトは、何を行うかだけでなく、「何を行わないか」を決める際にも役立ちます。
たとえば、話題性のある企画や新しい表現方法であっても、ブランドが大切にする価値やお客様に与えたい印象と合わなければ、採用しないという判断ができます。
このように、明確な軸を持つことで、短期的な流行や競合他社の動きに左右されず、中長期的な視点でブランドを育てやすくなります。
2-2. 情報発信に一貫性を持たせることができる
お客様がブランドを知るきっかけは、Webサイト、SNS、動画、広告、パンフレット、営業資料など、さまざまです。媒体ごとに内容や印象が大きく異なると、ブランドが何を大切にしているのかが伝わりにくくなります。
特に、媒体ごとに担当者や制作会社が異なる場合は、コピーやデザイン、写真、言葉づかいにばらつきが生じやすくなります。
ブランドコンセプトを共有しておけば、関係者が異なっても、発信するメッセージの方向性をそろえやすくなります。
たとえば、「親しみやすさ」を重視するブランドであれば、専門用語を控え、わかりやすい言葉や日常的な雰囲気が伝わる写真を使用するといった方向性が考えられます。
一方、「専門性や信頼感」を重視する場合は、根拠となる情報を丁寧に示し、落ち着いたデザインを採用するなど、表現方法も変わります。
ただし、すべての媒体で同じ表現を使う必要はありません。媒体の特性に合わせて見せ方や文章量を変えながらも、伝える価値やブランドとしての姿勢は一貫させることが大切です。
統一された情報発信を続けることで、お客様の中にブランドイメージが形成され、認知や信頼の向上にもつながります。
2-3. 他社との差別化につながる
市場に似た商品やサービスが多い場合、機能や価格だけで他社との違いを伝えることは難しくなります。
「競合よりも機能が優れている」「価格が安い」といった特徴はわかりやすい一方で、他社に追いつかれることもあります。そのため、そのブランドならではの価値を明確にしておく必要があります。
ブランドコンセプトを整理すると、自社の商品やサービスが「なぜ必要とされるのか」「お客様にどのような変化を提供できるのか」を言葉にしやすくなります。
たとえば、「担当者の対応が丁寧」という特徴は、自社側から見た強みの説明にとどまりがちです。これをお客様の視点に置き換えると、「初めてでも不安なく相談できる」といった価値として表現できます。
このように、自社の特徴や強みをお客様にとっての価値へ変換することで、選ばれる理由を明確にでき、他社との差別化につながります。
2-4. 社内の共通認識をつくることができる
ブランドは、マーケティング部門や制作担当者だけでつくるものではありません。
経営方針、営業提案、商品やサービスの品質、問い合わせ対応、店舗や現場での接客など、お客様と企業が接する場面がブランドの印象を形づくります。
そのため、ブランドコンセプトは一部の担当者だけが理解するのではなく、ブランドに関わる社内の各部門で共有しておくことが大切です。
共通のブランドコンセプトがあれば、立場や業務内容が異なっていても、「自社は誰に、どのような価値を提供するのか」を同じ方向性で説明しやすくなります。
また、各部門の業務に落とし込むことで、お客様に提供する体験にも一貫性を持たせることができます。
具体的には、営業部門では提案内容、カスタマーサポートでは問い合わせ対応、制作部門ではデザインやコピーに反映できます。
社内の認識をそろえることで、情報発信だけでなく、社員の日々の行動やお客様対応にもブランドの考え方を反映しやすくなります。
3.ブランドコンセプトの作り方
3-1. ブランドコンセプトを作る目的を明確にする

はじめに、なぜブランドコンセプトを作るのか、目的を明確にしましょう。
新ブランドの立ち上げ、既存ブランドの見直し、Webサイトや会社案内のリニューアル、社内外の認識統一など、目的により整理すべき情報や関係者、活用方法は異なります。
新商品を立ち上げる場合は、想定するお客様や競合商品、提供価値を整理する必要があります。既存ブランドの見直しでは、お客様からの認識や、現在の市場・事業方針とのずれを確認しておきましょう。
また、ブランドコンセプトの対象範囲も最初に決めておきましょう。
企業全体、特定の事業や商品・サービス、採用ブランドなど、対象によって盛り込む内容が変わるためです。
対象が曖昧なまま進めると、企業全体の考え方と個別商品の価値が混在し、誰に向けたブランドコンセプトなのかがわかりにくくなります。
目的と対象範囲を明確にすることが、検討を進める第一歩になります。
3-2. 市場・競合・お客様を整理する
次に、市場、競合、お客様について整理していきましょう。
市場については、業界動向やニーズの変化、商品やサービスの選ばれ方を確認します。社会環境や技術の変化によって、求められる価値が変わることもあります。
近年では、価格や機能だけでなく、環境への配慮、使いやすさ、購入後のサポート、企業姿勢などが選択の基準になる場合もあります。
競合については、対象とするお客様や訴求している価値、強みを調査します。
商品やサービスの機能、価格、デザインに加え、Webサイトや広告、SNSで使われている言葉やビジュアルも確認すると、競合がどのようなブランドイメージを形成しようとしているかが見えやすくなります。
お客様については、年齢、性別といった属性だけでなく、抱えている課題、価値観、商品やサービスを利用する場面まで考えることが大切です。
お客様が何を重視しているのかを把握することで、ブランドが提供すべき価値を考えやすくなります。
3-3. 自社や商品の強みを洗い出す

市場やお客様の状況を整理した後は、自社や商品・サービスの強みを洗い出しましょう。
強みには、機能、品質、技術力だけでなく、実績、専門性、提案力、対応の速さ、サポート体制なども含まれます。また、社員や組織が大切にしている考え方、経験やノウハウも重要な要素です。
強みを整理する際は、自社が強みだと考えている点だけでなく、お客様から評価されている点にも目を向けましょう。
アンケート、インタビュー、口コミ、営業担当者へのヒアリング、問い合わせ内容などを確認すると、自社では当たり前だと思っていた対応や仕組みが、お客様にとっての価値になっていたり、ブランドコンセプトを考えるヒントになったりすることがあります。
現在提供できる強みを確認したうえで、今後強化したい点を整理すると、実現可能なブランドコンセプトを作りやすくなります。
3-4. お客様に提供する価値を明確にする
自社や商品・サービスの強みを洗い出したら、それらがお客様にとってどのような価値になるのかを整理します。
お客様に提供する価値は、主に「機能的価値」「情緒的価値」「社会的価値」の3つの視点から考えることができます。
機能的価値とは、商品やサービスを利用することで得られる実用的な効果です。具体的には、業務を効率化できる、コストを削減できる、品質が向上するといった価値が該当します。
情緒的価値とは、利用することで得られる感情や心理的な変化です。安心して利用できる、楽しい気持ちになる、特別感を得られるといった価値が挙げられます。
社会的価値とは、商品やサービスを選ぶことによって、社会や環境によい影響を与えられるという価値です。環境負荷の低減、地域社会への貢献、社会課題の解決などが該当します。
ブランドコンセプトを考える際は、商品の特徴を並べるだけでなく、利用後にお客様がどのような状態になるのかまで考える必要があります。
3-5. ブランドコンセプトとして言語化する

市場、競合、お客様、自社の強み、提供する価値を整理したら、最後にブランドコンセプトとして文章にまとめます。
言語化する際は、主に次の要素を盛り込むとよいでしょう。
・誰に提供するのか
・どのような課題やニーズに応えるのか
・どのような価値を提供するのか
・どのような強みや方法で実現するのか
・お客様や社会をどのような状態にしたいのか
文章にまとめた後は、内容が抽象的すぎないか、自社の特徴が反映されているか、お客様にとっての価値が示されているかを確認しましょう。また、実際の商品やサービス、お客様対応と矛盾していないかも確認します。
ブランドコンセプトは、文章を作って終わりではありません。社内で意見をすり合わせ、お客様や取引先の声も確認しながら、より自社らしく、実際の活動に活用できる内容へ調整していきましょう。
4.まとめ|ブランドコンセプトを整理して、一貫した情報発信へ
ブランドコンセプトを明確にすると、施策ごとの判断がぶれにくくなり、さまざまな媒体で一貫したメッセージを発信しやすくなります。また、自社の強みをお客様にとっての価値へ置き換えることで、機能や価格だけではない、選ばれる理由を伝えることにもつながります。
企業ブランドと商品・サービスブランドの関係も整理しながら、自社が大切にする考え方と、お客様に提供したい価値を結びつけ、日々の活動に活用できるブランドコンセプトを策定していきましょう。
ホープンでは、ブランドコンセプトや情報発信の目的を踏まえ、Webサイト、動画、印刷物などのコンテンツ制作をサポートしています。媒体ごとの制作だけでなく、それぞれを連携させたクロスメディア施策にも対応しています。
ブランドの軸を整理し、一貫した情報発信につなげたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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