
「給与」「休日」「福利厚生」は、採用情報に並ぶ数字や条件だけで、会社の魅力を伝えきることはできるでしょうか。
昨今、少子化や求職者の価値観も多様化されいる今、学生や求職者が企業に求めるものは、数字では測れない“人の魅力”や“共感できる想い”です。
だからこそ今、採用の現場には「心を動かすブランディング」が求められています。
今回は、数字では伝わらない魅力を“伝わるカタチ”に変える、「採用ブランディング」の考え方と実践のヒントをご紹介します。
◆目次
1.数字だけでは伝わらない採用市場のリアル
リクルートワークス研究所が2025年4月24日に発表した「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」によると、2026年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした大卒求人倍率は、1.66倍となっており、2025年卒の 1.75倍 から 0.09ポイント低下しました。とはいえ、1倍を大きく超えるこの数値は、引き続き 学生側が有利な売り手市場であることを示しています。
企業の中には、「条件は他社より良いのに応募が集まらない…」と感じているご担当者様も多いのではないでしょうか。
その原因の一つが、“伝え方”の限界にあります。
求人票では、「アットホームな職場」「風通しの良い環境」といった言葉で雰囲気を伝えようとする企業も多いでしょう。
しかし、学生や求職者からは「どの会社も同じに見える」という声が少なくありません。
また、待遇や休日などの条件は比較しやすい一方で、「この会社で働きたい!」と感じさせるような感情的な魅力は伝わりにくいのが現実です。
そのため、いま採用広報に求められているのは、数字や条件を並べることではなく、“体験として企業の魅力を感じてもらう” 発信です。
2.数字では伝わらない魅力を「伝わる形」に変える3つのステップ
①言語化(自社の強みと想いを掘り起こす)
まず必要なのは、“何を伝えるべきか”を明確にすることです。実はどの企業にも“他にはない強み”があります。その強みを掘り起こすために有効なのが、「社員インタビュー」や経営層へのヒアリングです。
「なぜこの会社を選んだのか」「どんな瞬間にやりがいを感じるか」といった生の声に、新たな企業の強みが出てくる可能性があります。
自社の強みの掘り起こしだけでなく、“人の言葉”でストーリーを語ることで、数字や実績だけでは伝わらない、求職者の共感を呼ぶことにもつながります。
②可視化(人・空気感・文化を“見える化”する)
次に、その想いを“見える形”に変えていきましょう。
学生にとっては、テキスト情報よりもビジュアルや動画で直感的に企業を理解する傾向があります。
例えば、
-
若手社員の一日に密着した「一日密着ドキュメント動画」
-
オフィスの雰囲気を紹介する「オフィスツアー紹介動画」など
こういったコンテンツは、言葉では表現しきれない「温度」や「人間味」を伝える力を持っています。
また、採用サイト・パンフレット・SNSなど、各媒体のデザイントーンを統一することで、ブランドとしての世界観も形成することができます。
“見た瞬間に自社らしさが伝わる”ことが、「採用ブランディング」の理想のカタチです。
③発信(一貫した世界観で複数チャネルをつなぐ)
どれほど良いコンテンツを作っても、届かなければ意味がありません。
採用サイト、Instagram、YouTube、説明会資料に至るまで、発信チャネルを横断して一貫したメッセージを伝えることが重要です。
たとえば、採用SNSでは、日常の温かさを、採用サイトでは理念とストーリーを、会社説明会では映像で“感情に届く瞬間”を作り、それぞれが連動することで、企業全体の“採用ブランド体験”が構築されます。
このように、「理念→人→文化→体験」がつながる構造を持つ企業ほど、応募率や内定承諾率が高い傾向にあります。ぜひ一貫したメッセージを伝えていき、発信していくようにしましょう。
3. 共感を生み出す採用ブランディング背景となる3つのポイント
「共感で人を惹きつける採用」は、単に感情に訴える発信をすることではありません。
本質的には、“自社の存在理由”と“働く人のリアル”を矛盾なく結びつけることです。
この“つながりの強さ”こそが、企業への信頼と応募意欲を生み出します。
ここでは、共感が生まれる採用ブランディングの背景にある3つのポイントについてご紹介します。
①「外向きの言葉」と「内側の文化」を一致させる
どれほど魅力的な言葉で採用メッセージを作っても、社内の実態と乖離していれば、共感は長続きしません。
また、求職者は面談や社員紹介動画など“ちょっとした言葉の端々”から、会社の空気を感じ取ります。
つまり、採用ブランディングとは「よく見せる」活動ではなく、“ありのままを見せられる状態をつくる”取り組みなのです。
そのため、「広報」よりも先に、まずは社内に理念や価値観が根付いているかを確認し、もし根付いていない場合はそこを整えることから始めましょう。
そうすることが、共感を育てる第一歩に繋がります。
②「物語」で伝える|人が心を動くのは“共通点”のあるストーリー
数字や制度ではなく、人は「自分にも起こりそうな物語(ストーリー)」に心が動きます。
そのため、採用における「ストーリーテリング」は、ブランドの感情的価値を高めるための重要な手法です。
例えば、
-
入社のきっかけ
-
初めて任された仕事のエピソード
-
失敗を乗り越えた経験
こうした一人ひとりのストーリーは、会社の理念を“人の言葉”で語る力を持っており、ただ理念を語るのではなく、理念が浸透されていることで、その人それぞれの中のストーリーとなり、共感を呼ぶストーリーになります。
③「安心感」と「誠実さ」を可視化する
共感の最終到達点は、“憧れ”ではなく“安心”です。
どれほどかっこいい採用動画でも、「この会社なら自分を受け入れてくれそう」と思わせなければ、応募にはつながりません。
そのため、応募に繋げるためには求職者の視点に立ち、企業がどう人を大切にしているかを具体的に示すようにしましょう。
評価制度・キャリア支援・社員同士の関係性など、安心を感じられる仕組みをデザインし、それを誠実に伝えることが大切です。
採用ブランディングの目的は、単に“人を集める”ことではありません。
「理念・文化・人・物語・安心」の5つをひとつの体験として設計することが、企業と応募者の間に長く続く信頼と共感を育てる、「採用ブランディング」になります。
4.まとめ|「伝える」から「伝わるカタチ」にして発信していきましょう
これからの採用で求められているのは、待遇や制度の良さを“伝える”ことではなく、「この会社で働きたい!」と感じてもらう体験をつくることです。
学生や求職者が惹かれるのは、数字では測れない“人の温度”や“企業の一貫した想い”であり、その想いをどう言葉にし、どう見せ、どう届けるかが採用成功を左右します。
そのため、表面的なアピールではなく、「理念・文化・人・物語・安心」の5つを一貫した体験として設計し、伝わるコンテンツで共感を呼び、人を惹きつけるよう設計していきましょう。
ホープンでは、こうした想いを「伝わるカタチ」にするコンテンツ制作のサポートをしています。
例えば今回記事の中でご紹介いたしました、採用動画を始め、会社案内パンフレット・採用サイト・オフィス紹介映像など、企業の魅力を“共感で伝える”採用ブランディングコンテンツをトータルで企画・制作いたします。
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