【風が運ぶ季節だよりシリーズ】其の一「東南風」

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公開日:2026/06/02
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【風が運ぶ季節だよりシリーズ】其の一「東南風」

この記事は、ホープン(旧社名:プリントボーイ)が創業より続けているアナログコミュニケーション、“お元気ですかはがき”のテーマと連動した内容となっております。

「お元気ですか」は新シリーズとなり、今回から「風が運ぶ季節だより」をお届けします。目には見えないけれど、確かにそこにある“風”。その風は、季節の移ろいや空気の変化を、私たちにそっと教えてくれる存在です。やわらかく吹く風や、湿り気を帯びた風、涼しさを運ぶ風、台風のような強風など、同じ“風”でも、その表情は季節によって少しずつ変わっていきます。

本シリーズでは、目に見えない「風」の違いに目を向けながら、日本ならではの季節の感じ方や、暮らしの中にある風の役割を紐解いていきます。
今回は、梅雨の時期に吹く初夏の風「東南風(いなさ)」を題材に、その特徴や、風を感じる暮らしの工夫についてご紹介いたします。

なお、今回のデザインはお元気ですかはがきとして、ご希望のお客様のお手元にもお届けしております。
また、記事の中で「お元気ですかはがき」のデザインポイントについてデザイナーにインタビューしましたので、ぜひご覧ください。

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【風が運ぶ季節だよりシリーズ】其の一「東南風」



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◆目次

    1. 「東南風(いなさ)」に込められた意味
    2. 6月の「梅雨」と風の関係
    3. 日常の中で感じる風
      1. 風鈴
      2. すだれ
      3. 結婚式で使用される花嫁の衣装「ベール」
    4. 「お元気ですかはがき」のデザインポイント
      1. デザインへのこだわり
      2. 色彩へのこだわり
      3. フォントへのこだわり
      4. 印刷紙へのこだわり
    5. まとめ|風が教えてくれる、目に見えないものを伝える力

1.「東南風(いなさ)」に込められた意味

1.「東南風(いなさ)」に込められた意味

6月といえば、雨が続く梅雨の季節。どこか重たい空気を感じる時期ですが、実はこの季節の風にも名前がつけられています。その一つが「東南風(いなさ)」です。
東南風は普段あまり耳にしない言葉ですが、古くから季節を表す風の呼び名として使われてきました。
「東南風」と書くと、一般的には“とうなんふう”と読みたくなりますが、風の名前としては“いなさ”と読まれます。これは、南東から吹く風を指す古くからの呼び名「いなさ」に、意味を表す漢字として「東南風」が当てられているためです。また、「いなさ」は「辰巳(たつみ)の風」とも呼ばれます。「辰巳」とは、昔の方角表現で南東を指す言葉です。

さらに、民俗や言葉の背景をたどる資料として、柳田國男の著作『故郷七十年』があります。その中で柳田は、「イナ」は海を意味する古語「ウナ」が変化したもの、「サ」は風を意味するものだと述べています。

この由来を踏まえると、「いなさ」は“海から吹いてくる風”という意味合いを持つ言葉として捉えることができます。漢字の「東南風」が風の方角を表す一方で、読みの「いなさ」からは、海の気配や空気の変化を丁寧に感じ取ってきた人々の暮らしがうかがえます。

単に南東から吹く風というだけでなく、海の気配や初夏の空気を運び、季節の移ろいをそっと知らせてくれる風。それが「東南風(いなさ)」という言葉の魅力といえるでしょう。

2.6月の「梅雨」と風の関係

6月ごろ、南寄りの風に湿度を感じるのは、海の上を通る間に多くの水分を含むためです。海から運ばれた東南風が日本付近へ流れ込むことで、雨の気配を含んだ空気となり、梅雨の訪れを感じさせます。

この時期は例年、梅雨を迎えます。では、なぜ梅雨が始まるのでしょうか。
春から夏へと移り変わるころ、日本付近では、北側の冷たい空気と南側の暖かく湿った空気が出会います。その境目では雲が発生しやすくなり、雨を降らせる帯のようなものができます。これが「前線」と呼ばれるものです。
この前線は日本列島付近に停滞し、長雨をもたらすため、「梅雨前線」と呼ばれます。梅雨の雨は、季節の異なる空気がせめぎ合うことで生まれているともいえます。

6月の風である東南風も、こうした季節の空気の流れと重ねて捉えることができます。昔の人々は、こうしたわずかな空気の変化を感じ取り、風に名前を付けることで、季節の気配を表現してきたのです。

3.日常の中で感じる風

6月は、雨の気配とともに、湿り気を帯びた風が行き交う季節です。目には見えない風ですが、私たちは日々の暮らしの中で、その存在をさまざまな形で感じ取ってきました。
ここでは、暮らしの中で風を感じられるものをご紹介いたします。

3-1.風鈴

3-1.風鈴
軒先で揺れる風鈴は、風を“音”で感じさせてくれる存在です。
風鈴の音には古くから魔除けの意味があると考えられ、ガラス製の風鈴が暮らしの中に広まるにつれて、夏の風物詩として親しまれるようになりました。
涼やかに響く音は、気温そのものを下げるわけではありませんが、風の存在を思わせ、涼しさを感じさせてくれます。6月の湿り気を帯びた風も、風鈴を通すことでやさしい音へと姿を変え、季節の訪れを知らせてくれます。

3-2.すだれ

3-2.すだれ
すだれは、日差しをやわらかく遮りながら、風を通すための日本の暮らしの知恵です。
竹などを細く編んだ構造により、外からの強い光や視線を和らげつつ、風の通り道をつくることができます。
特に梅雨の時期は湿気がこもりやすいものですが、すだれを取り入れることで、室内に自然な涼感をもたらしてくれます。光と風を同時に調整することで、季節に寄り添った暮らしを支えてきた道具といえるでしょう。

3-3.結婚式で使用される花嫁の衣装「ベール」

3-3.結婚式で使用される花嫁の衣装「ベール」
6月は「ジューンブライド」とも呼ばれ、結婚式と結びつけて語られることの多い季節です。
ウェディングで使用されるベールには、古くから花嫁を邪悪なものから守るという意味が込められているとされています。
屋外での結婚式では、風に揺れるベールが花嫁の姿をやわらかく見せ、祝福の場面を印象的に演出します。風そのものは目に見えませんが、布がふわりと動くことで、その存在を感じることができます。

6月の風は、音となり、光を和らげ、布を揺らしながら、私たちに季節を伝えてくれます。
昔の人々もまた、風向きや風の性質を暮らしの中で感じ取り、風に名前を付けてきました。そこには、風が季節のたよりを運んでいると感じる、日本ならではの豊かな季節感が表れています。

4. 今回のデザインポイント

4-1.デザインへのこだわり

4-1.デザインへのこだわり
デザインは、東南風が運ぶ湿った空気や、梅雨の訪れを感じさせる季節感を、青を基調とした波のような曲線で表現しました。下部に重ねた淡いブルーのグラデーションは、海から吹き寄せる風や雨の気配を演出しています。

中央には、初夏であるこの時期に水辺へ飛来する鳥「コアジサシ」を入れました。コアジサシが水面の上を軽やかに飛ぶ姿を表現することで、海から吹く風の流れや、季節を運んでくる様子をお届けできたらと思っています。
また、コアジサシは白い羽とすっきりとしたシルエットで調整し、青い曲線の中で映えるように、爽やかさと動きのあるデザインに仕上げました。

4-2.色彩へのこだわり

色彩は、東南風が運ぶ海からの湿った空気や、梅雨のはじまりを感じさせる季節感を、ブルーを中心とした色合いで表現しました。

下部の色味は、水色・青をはじめ、さまざまなブルーを重ね、海や水面、雨の気配を思わせる涼やかな印象に仕上げました。濃淡の異なるブルーを波のように重ねることで、風の流れや空気の揺らぎを視覚的に感じていただけるように意識して配色しています。

全体を寒色系でまとめつつ、あまり重たい印象にならないよう、白い余白を大きく取り入れることで、6月らしい初夏の空気感を演出しました。

中央の「コアジサシ」は白を基調に、くちばしや足元に黄色を差し色として加えることで、爽やかな紙面の中に初夏らしい明るさや軽やかさを添えています。

4-3.フォントへのこだわり

4-3.フォントへのこだわり
使用したフォントは、見た目の印象だけでなく、読み手に伝わる雰囲気も大切にして選定しました。フォントは2種類使用しています。

1つ目は「さくらぎ蛍雪 Sta」をタイトル部分に使用いたしました。このフォントで手書き文字のようなやわらかさや親近感を持たせています。少し人の手の温度を感じる書体にすることで、季節のお便りらしいあたたかみを表現しました。

2つ目には「黎ミンR」を本文に使用しました。シンプルでくせが少なく、読みやすい明朝体のため、文章の内容を落ち着いて読んでいただけるようにしました。

タイトル部分の親しみやすさと、本文の読みやすさのバランスを意識することで、全体として上品でやさしい印象に仕上げました。

4-4.印刷紙へのこだわり

お元気ですかはがき_印刷紙へのこだわり(風光)提供:株式会社竹尾 撮影:安永ケンタウロス

目には見えない風を、音や肌触り、光の変化の中で感じ取るように、はがきの用紙でも文章やデザインだけでなく、紙の質感からも季節感を伝えたいと考え、「風光」という紙を採用いたしました。

「風光」は、ファンシーペーパーの一つです。1967年に発売された「波光」という用紙の姉妹品として発売されました。「波光」よりも軽く、やわらかな紙であることから、「自然の美しい眺め、景色」という意味で「風光」という名前がついたといわれています。
「風光」は、さわやかな白さと、あたたかくしっとりとした肌触りが特徴の紙です。軽くしなやかな印象は、風が通り抜けるようなイメージとも重なりました。
また、非塗工紙ならではの自然な風合いは、華やかすぎず、落ち着いた印象を与えてくれます。紙そのものの手触りや佇まいが、季節の空気感を引き立ててくれます。

4-4.印刷紙へのこだわり(お元気ですかはがき【用紙:風光】)
実際の紙の質感や風合いは、画面では伝わりにくい部分でもあります。
ぜひ紙の質感などは実際の紙でご確認いただきたく、以下のフォームから「お元気ですかはがきのサンプル」をお申込みいただけましたら幸いです。

お元気ですかはがき サンプル請求フォーム

5. まとめ|風が教えてくれる、目に見えないものを伝える力

風は、目に見えるものではありません。けれど、音や揺らぎ、空気の湿り気、肌に触れる感覚を通して、私たちにその存在をそっと伝えてくれます。
道を歩いている際に聞こえる風鈴の音、すだれ越しに通り抜ける風、ふわりと揺れる布の動き。暮らしの中にあるさまざまなものを通して、私たちは昔から風の気配を感じ取ってきました。

そして昔の人々は、季節ごとに異なる風の表情にも目を向け、「東南風(いなさ)」のように名前をつけてきました。そこには、目には見えない風の気配や、季節の訪れを丁寧に受け止めてきた、日本ならではの感性が表れているように感じます。
ご紹介した東南風もまた、梅雨の湿り気や雨の気配を含みながら、初夏の空気感をそっと知らせてくれる存在です。

言葉やデザインだけでなく、紙そのものの質感まで含めて季節を届けることも、アナログコミュニケーションならではの魅力です。
ホープンでは、「お元気ですかはがき」のように、想いや季節感を届けるコミュニケーションツールの制作をご支援しております。印刷物の企画・デザインはもちろん、動画制作やWeb制作までワンストップで対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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